執拗に愛されて、愛して
 今日は雅に待っててと言われて営業終わりまで待っていた。

 玲くんに雅は1時で上げてもらって一緒に夜道を歩いている。普段ならくだらない話をああでもないこうでもないと言いながら話すのだけど、今日は全くそんな気分になれなかった。


「何か静かじゃね?」

「…そう?」


 雅の疑問にも特にそれ以上何も言わず家までの道をただただ歩く。

 別に今までだってあんな距離感の事もあったし、楽しそうに話だって何度もしてた。今に始まった事じゃないのに、どうしてこんなにモヤモヤするんだろう。


「夏帆。何かあったろ。仕事関係?」

「何でもないってば。」


 今更この男に何かを言ったって無駄だ。だって、仕事でしか無いし、今に始まったことじゃないし。結婚してから雅が女性とべたべたするのが許せなくなったのかもしれない。そんな器の狭い人間にいつからなったのか。


「じゃあ何でもないって態度しろよ。そんな不機嫌に言われても気になんだろうが。」


 顔を顰めながらそんなことを言っているこの男の発言は正しい。それでも平気では居られない時だってあるのだから仕方ない。


「言っても無駄な喧嘩になるだけでしょ。」

「はあ?俺達なんか今まで何回喧嘩したと思って…。そっちのが今更だろ。」

「あんた面倒臭い!良いったら良い!」


 そう言って突き放しているのに肩に腕を回されて逃げられない様に囲われている。ほんとうむかつく。
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