執拗に愛されて、愛して
「あー、夏帆のウェディング姿見れるなら悪くないかもな。」


 煙草を蒸かしながら言った雅に私は開いた口が塞がらず、紗希ちゃんは「きゃっ」と両手で口元を覆っているが、私にはわかる。こいつは必ず次に最低な発言をする。


「綺麗な物をドロドロに汚すのも悪くないよな。」

「ははは、何で本当私こいつと結婚したんだろう。」


 乾いた笑いを零して、グラスの中に入っていたソルティードッグを一気に飲み干した。相変わらず最低な考えの持ち主だった。

 この男にはそもそも綺麗だろうがそうじゃなかろうがあまり関係ない気がするけど。


「ま、半分嘘で半分は本当。」

「本当なのが後者だったらぶん殴る。」

「ちゃんと前者だから安心していーよ。何飲む?」


 そう言うのサラッと言えちゃうところ。

 照れも無く言う雅に少し悔しい気持ちはありつつも「カシスソーダ…」というと手際よく作り始める。紗希ちゃんがニヤニヤするとこちらに近寄ってきて「雅さん、かなりやり手ですか」と耳打ちしてくる。アラサー2人がよく人前でこんな恥ずかしい会話を出来るなと恥じらいが湧く。


「…この男の言葉の意味なんて考えるだけ無駄だからね。」

「そんな事言って夏帆さんも嬉しい癖に~!」

「紗希ちゃん。玲くん戻ってきたよ。」

「え!?」


 そう言って意識を玲くんの方に戻させて雅の方を見ると、飲み物を前に置きながら、目を合わせるなり「何。」と問い掛けてくる。

 何じゃないだろうが、このクズ。
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