執拗に愛されて、愛して
 ずっとずっと、ずるくて、こういう所嫌いなのに…。


 嫌じゃない。あんたとの駆け引きが。


 いつになっても、いつまで経っても。この男を振り回していたいとずっと思っていたのに、いつからか振り回されるのも嫌じゃなくなっていたのかもしれない。


「…そんな甲斐性無いでしょ。いざ子供出来たら困るくせに。」

「試してみる?俺は正直夏帆が仕事に行かず家にいてくれるなら、孕ませたくて仕方ないけど。」


 私が着ていたシャツの中に手を入れて、冷たいとも温かいとも言えない手が私の脇腹を撫でてその触れ方が擽ったいのに、ゾクッとした快感が上がってくる。

 正直、もうこの男を相手にするだけの余裕が無い。

 髪を耳に掛けさせるとそのまま耳元に口元を寄せて、軽くリップ音を鳴らしながら耳に口付けをする。人が耳が弱いって知っているのに、攻めてくるの最高に性格が悪いと思う。

 嫌だと思っているのに、止められたら切なくなって、雅の服のシャツをぎゅっと掴んで離さない様にしてしまう。そんな私を見て少しだけ笑うと、耳に当てられていた唇が今度は私の唇の近くにある。


「…何、物欲しそうな顔しちゃって。おねだりも碌に出来ねぇのに欲しいもんもらえると思ってんの?」

「…っ…。」


 今日はどこまでも意地が悪い。このままキスするなんて簡単な癖に、欲しい物は目の前にあってそれが形を変えて動くだけでほしい所にもらえない。


「…あんただって、欲しい癖に。」


 挑発するつもりで少し睨みつけながら言うと、雅は目を細めて心底楽しそうに笑っていた。
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