執拗に愛されて、愛して
「そう言えば、子供の予定とかはあるのかな。産休とか、育休どう思う?」

「いえ、まだそんな話は。」


 中身は福利厚生についての真剣な話に見えるけど、悪気が無くても家族からの子供の予定を聞かれたりするのは気持ち悪いのに、会社の上司からのその話は尚更気持ち悪いに決まっている。

 顔には出さない様にするけど、そんなの正直蓋を開ければ新婚の夜の事情をダイレクトに聞いているのと何も変わらない。

 お酒に呑まれてそんな判断も付かないのか、と思ってしまうけど、まともな思考を奪うのがお酒と言うものな事も十分身に沁みている。本当、早く終わらないかな。この飲み会。


 そして、私は気付いていない。スマホに送られている1通のメッセージに。



«どこで飲んでんの?遅くなるのは心配だから連絡寄越して。»



 お説教どころかそんな優しい言葉のメッセージ。どうして私はいつも雅のこういう所に早く気付けないのか。
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