執拗に愛されて、愛して
𓂃꙳⋆⭐︎



「そう、ですか。お手数おかけしました。」

「いえ、こちらこそ。朝比奈さんが無理しているの分かっていたのに飲ませ過ぎてすみません。」


 聞き馴染んだ声になんとなくほわほわとしていた意識が少しだけはっきりして、私の身体を支えている相手の顔を見ようと目を開ける。すると少し上にある視線の先に私の好きな顔があって首を傾げた。


「あれぇ?なんでぇ?家?ここ。」

「…ほんと、ある意味期待裏切んないな。お前。」


 そう言うと動き出すも、全然上手く動けない。


「うっ…、ちょっと、優しくして…!」

「手掛かる女。何が早く帰るからだよ。」

「おん、ぶ。」

「ふざけんな、ボケ。」


 かなり怒っているなあというのはお酒に呑まれていても分かっていたけど、会えて嬉しかった反動でか思い切り雅に抱き着いてしまう。ここがどこなのかもいまいちわかっていない。

 
「……本当、俺。唯一お前のそういう所は嫌い。」

「嫌い?何で?」

「誰にでも優しくするけど自分の事は大事に出来ない所。自分の事疎かにするけど、もう1人じゃないのちゃんと理解してんの?」

「嫌い…、やだ。」

「…酔っ払いに言ってもか。」


 案の定説教されているけど、雅の言っている意味は分かっていなかった。どういうつもりで言っていたのか、どんな気持ちで嫌いと口にしたのか。
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