執拗に愛されて、愛して
 雅の溜息によって私の言葉は遮られる。


「気、済んだ?」

「え?」

「好き勝手話して、気は済んだかって聞いてんだよ。」


 顔を見ると今までよりもあからさまに怒っている表情をしていて、そのまま私の方に近付いてくる。それから腕を強く掴まれて痛みで顔が歪む。


「いっ…!」

「何?本気で離婚したいの?家出て行くって?」

「…嫌、離して。」

「俺が甘やかしすぎたんかな。何でも言う事聞いてきてやったもんな。散々。」


 そう言って口元に笑みを浮かべる姿は、綺麗だけど不気味で怖かった。何を考えているか分からない、言葉の意図も分からない。


「離婚?してもいいよ。こんな安っぽい紙一枚で本当に俺らの縁が切れるかどうかは知らないけど。別に俺は関係なんてこだわらないし。」

「な、何言ってんの。」

「こっちのセリフだよ。そもそも本気で俺から離れたいとか思ってんの?そんな俺の事好きって顔して、俺の為に離れます~っていい子ぶってんの?」


 容赦のない言葉に胸が痛い。何でそんな言葉を吐いてくるの。


「ち、がう。私が仕事に集中したいから。仕事がやっぱり一番だからそうするだけ。」


 顔を逸らしてそう言うと逸らすなとでも言う様に私の顔を雅の方に向けさせられる。
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