執拗に愛されて、愛して
「お姉さんのお名前ともし失礼じゃなければご年齢聞いてもいいですか?あ、聞くのがそもそも失礼かな。」


 そう言いながら少し申し訳なさそうに言うバーテンダーに、笑って首を横に振る。聞かれるのが嫌だという女性は一定数いるだろうけど、私はそう言うのは気にしない。


「いえ、そんな。夏帆です、朝比奈 夏帆。26歳。」

「……夏帆さん、ですか。もしかして地元はこの辺ですか?」

「いえ、地元は違うんですけど大学がこの辺りで。」


 私の名前と年齢を聞いた後、少し驚いていた様な気がした。何故驚いていたのかは分からない。私とバーテンダーの男性は初対面なはずで、思い当たる節は当然無い。何故驚いたのか疑問だったが、玲さんが「そうでしたか」と柔らかい笑顔で返事をしたのを見て、それ以上は何となくこちらからは話を続けられなかった。


「俺は、玲《れい》です。相原《あいはら》 玲。」

「玲さん。」

「仲良くなりたいので砕けた話し方で大丈夫です。俺もいいですか?」

「もちろん。」


 急に人に距離を縮められる様な感じは実はすごく苦手。だけど、玲さんの距離の縮め方は嫌な気がしなかった。「仲良くなりたい」という言葉は、もしかしたら営業で出た言葉かもしれないが、こちらもこれからもしこのバーに通う事になるならば仲良くなっておきたい。
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