執拗に愛されて、愛して
 それから土曜日のバーだった。玲くんにお詫びをしに来て、その流れで雅が居ない間に一通りの話をする。


「何か、子供みたい。」

「子供?」

「子供。お互いに素直になれないで、雅だって素直に嫌だったって言えば終わりだったし、夏帆ちゃんだって離れたくないのに離れたいなんて言わなきゃよかったのに。というか、離婚してそもそも仕事にも逃げれないでしょ。別問題なんだし。」


 玲くんの言葉が刺さり過ぎる。

 無駄に遠回りしなくても良かった問題なのは分かるし、最初から話し合えていたら。というか、別れたあの日だって、私が最初からもっと会いたい、話したいって我儘言えていたら。あの頃の雅は、何と言ったんだろう。

 仕事だから仕方ないだろ、今が頑張り時なんだから。とか?

 だめだ、私の頭じゃ雅の考えなんて分かる訳が無い。


「もう、いつも後悔ばかりしてる気がする。恋愛ってやっぱ面倒臭い。」

「嫌だなんて思ってないでしょ。夏帆ちゃん。」

「…うん。でも、雅以外なら別れてたと思う。既に、面倒だって。きっと結婚なんてせずに居たと思う。」

「本当、まじで面倒そうなのに雅と夏帆ちゃん見てたら恋愛も良いなってちょっと思っちゃうの悔しい。」

「憧れても良いわよ。」

「憧れないよ、こんな面倒臭い人たち。」


 そう笑う玲くんに私も少しつられて雅の方を見る。
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