執拗に愛されて、愛して
 それから夕方、一瞬だけ咲人を連れて早い時間に玲くんたちに見せに来た。

 雅と一緒にお店に顔を出すと玲くんが笑顔で出迎えてくれて、拭き掃除をしていた颯くんがこちらに向かってくる。

 颯くんとは玲くんがアルバイトで雇った、大学生の男の子。澤口(さわぐち) (はやて)くん。人懐っこくて可愛らしい男の子だ。


「雅さーん!夏帆さーん!」


 寄ってきた颯くんの額を掌で抑え付ける雅。


「寄んな。」

「ええ、何で!俺も咲人くん見たいですって!」


 こんな態度でも颯くんは雅に懐いていて、颯くんがドMなのか雅が実はツンデレで裏ですごく可愛がっているのかのどっちかだと思っている。


(まあ、実際雅は素直じゃないしね。)


 そう思いながら玲くんに咲人を見せると玲くんは優しく咲人の頭を撫でてくれた。


「あれ?前夏帆ちゃんに似てると思ったのに、顔変わったね。雅にそっくりじゃない?」

「そうなの。ここ1ヶ月でまた随分変わって。私としては将来有望で嬉しい。」

「面食い視点の期待やめろよな、お前。」


 将来有望とか顔の話をしているのがバレている。


「夏帆さんに似ても格好良くなりそうっすけどね。てかお二人美人なので、男の子も女の子もすげぇ美人になりそう。」

「問題は性格が夏帆ちゃんになればいいね。」

「喧嘩売ってんのか。」


 メンズ3人の言葉を聞いて少し笑っていると咲人は指をくわえながらきょろきょろと辺りを見渡している。初めて来る場所だというのは感じ取っているのか、落ち着かない様子だ。
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