執拗に愛されて、愛して
 その日眠れなくて、咲人を寝かしつけた後も起きてリビングでスマホを触っていた。

 話せないから余計な事を考えてしまって、ずっと頭の中がグルグルしている。

 雅の帰りを待っていると午前2時、玄関先の電気が点いてドキドキと嫌な音を胸が立てている。

 手を洗ってこちらに来る雅が私の姿に驚いていた。


「びっ、くり。何してんの。電気も点けないで。起きてんの珍し。」


 そう言いながらリビングの電気を点けて私の方に近付いてくる。

 その瞬間に抱き着いて匂いを確認する。

 知らないホテルのシャンプーの匂いもしないし、いつもの雅の匂いだった。


「は?何なの、夏帆。何か喋れよ。気持ち悪。」


 静かな私にそう言って身体を離すと顔を覗き込んでくる。


「…昨日、本当に颯くんだった?」


 私の問い掛けに眉間に皺を寄せて首を傾げている。


「何その質問。疑われる様な事した覚えはねぇけど。」

「本当に無い?」

「何が言いてぇの。颯に電話しなきゃダメ?こんな時間にわざわざたたき起こして、証言させようか?」

 
 そう言って雅はスマホを取り出してタップする。

 その手を掴んで雅の顔を見ると、雅も冷たい視線をこちらに当てて見つめ合う。

 答えが聞くのが怖い気もするけど、ちゃんと聞かなきゃ。
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