執拗に愛されて、愛して
 どうしても言いたくない私と、どうしても言わせたい雅の攻防。

 そしてそんな事が起きているとも知らずに呑気に眠っている咲人。今は起きて、泣いて私を助けてほしい。


「…いえない。」

「何で?」

「だから…!言いたくない事だってある!」


 そう言いながら胸元をぐっと押しても離れてくれない。

 普段近くても全然顔を見つめ返す事くらい余裕なのに、今日は顔が火照る。こんな近さが久し振りだからか落ち着かない。


「……いつか、答え合わせ。ちゃんとするから、今は待って。」


 そう言うと雅は少しだけ怒った表情をしていたけど、額に軽くキスをしてそれから、頬や耳辺りにもキスをしてくる。
 それが擽ったくて軽く「ん…、」と無意識に声が漏れてバッと慌てて口を抑える。

 その私の声に雅がふと微笑むとそのまま耳に軽く口付けして、少し甘噛みをする。

 人が耳が弱いって言うのわかっていてこういうことをしてくる男。

 なんとか逃れたくて「ね、ねぇ!シャワー!浴びてきたら!?」なんて必死に他に気を逸らさせる。


「何?お預け?そういうの燃えるけど。起きててくれんだよね?」

「ね、寝る!咲人の起床時間早いし……。」

「無理、寝んな。起きて待ってて。」


 そんな甘い言い方ずるい。
 それに久しぶりだから急に体温がグンッと上がるのを感じて、緊張する。


「変な疑い掛けた罰。起きてろ。」


 そう言いつけて私の頬に口付けすると、そのまま風呂場へと向かっていく。今日は、何の心の準備もしていないのに。
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