執拗に愛されて、愛して
 その後も、結局25時まで付き合わされ、さすがにそろそろ帰ろうかとスマホを眺めていた。別の客の対応をしていた雅が私の席の隣まできて、カウンターの中にいる玲くんに声を掛けた。


「玲、俺夏帆の家に荷物取りに行くついでに送って帰るわ。閉店任せていい?」


 玲くんは雅の言葉に「いいけど…」と返事をして、疑いの目を向けている。


「⋯くれぐれも気をつけてよね。手癖悪いんだから。」

「どうだろ、手出すのもマナーかもよ?」

「馬鹿じゃないの、手出したらあんたの下半身捻り潰す。」

「相変わらずお口が悪いですね~、夏帆ちゃんは。」


 そう言いながら肩を抱いてくる雅の手を強めに払うと、雅は楽しそうに笑っていた。

 この男はきっと私との駆け引きを楽しんでいる。だから、私が触れられるのも、恋をするのも抵抗をすればするほど楽しそうな表情をする。


「じゃ、着替えてくるから待ってて。」


 バックヤードに下がっていく雅を見送ると、軽く溜息をこぼして玲くんと顔を見合わせた。
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