執拗に愛されて、愛して
 15分程歩いた先に、私のマンションに到着して雅の置いてきた荷物を渡すために、部屋の鍵を開けて雅を玄関先まで通す。


「これだけよね荷物。そういえば、お酒飲んでたけど、帰り車どうするの?」


 そう問いかけてから雅の方を見ると、目が合ってその時荷物でもなく、ずっと私を見ていたことに驚いた。この時に、玲くんの忠告、やっぱり聞いておくべきだったのかもなんて少し後悔した。

 車なんて勝手に好きな時に取りにくればよかっただけだし、荷物だっていっそ送ればよかった。どうとでもできたのに、わざわざこんな男をこんな時間に家に上げるなんてあまりにも警戒心が足りていなかったのかもしれない。

 雅と見つめ合うとそのまま抱き寄せられ、顔が近づいてくるのを見ているだけだった。見ているうちに雅はゆっくりと唇を重ね合わせてから、すぐに唇を離してこちらを見つめてくる。

 本当にただの友達に戻れたと思っていた。だからこんな風に気を許してた。なんだかんだ手はずっと出してこなかったし、雅にもその気はなかったと思っていたから。

 今は雅の行動に驚いたし、お酒を飲んでほろ酔いの頭じゃ何が起きているのか理解できない。


「⋯警戒心無いね。相手が俺だから?」

「あんた、本当友達だろうが手を出すのね。」

「友達?夏帆の事そんな風に思った事ないけど。」


 そう言いながらまた近付いてくる顔に掌を向けて拒否するも、男性の力に敵う訳が無いし、そもそも酔ってて力も入らない。抵抗なんて無駄だとでも言うように、手は簡単に封じられてしまって、再度強引に口付けられる。

 先程とは違う、お子様のキスなんかじゃなくて本気で求められている様な、息も出来なくなりそうな程深くて強引なキス。
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