執拗に愛されて、愛して
 どうやら私が着く数分前に雅が客として来てしまって、玲くんが連絡しようとしたけど間に合わず被ってしまったらしい。帰ろうとしたけれど、玲くんに飲みに行くと言ってしまったし1杯だけ飲んで帰る事にした。

 離れた所に座ったのに、グラスと灰皿を持って雅が隣に座る。どういう神経で私の隣に座れるのかと思ったけれど、どう見ても普段から図太い男だった。


「てか、何で今日来たのよ⋯。」

「誘われて飲みにも行ってみたんだけどつまんねぇからこっち来た。そしたらたまたま夏帆に会えた。」

「その面見せんなつったわよね?」

「覚えてねーや。二日酔いで。」


 そんなことも覚えてないのであれば今すぐぼこぼこにしてすべての記憶を消し去ってやろうかと、本気で犯罪に手を染めそうになるが堪える。というか1発くらい殴る権利あると思うので、殴らせてほしい。それくらいしないとこの怒りはおさまらない。

 玲くんに「何飲む?」と問われぼーっとメニュー表を眺めていた。楽しみにして来たのに1杯目を何も決めていなかった。


「ピニャコラーダにしようかな。」

「2人でテキーラは?」

「酔い潰す気なの見え見えなの。次同じ事したら角瓶で頭かち割るから。」

「脅しに聞こえねぇんだけど。」


 雅に溜息を零すと同時に、玲くんも溜息を零していた。きっと私が雅に会いたくないと言った時点で、何があったかは分かっているのだと思う。
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