執拗に愛されて、愛して
「ていうか、今日の飲みの相手女の子でしょ。そのままそっちで飲んでよろしくやってくれば良かったじゃない。」

「俺にだって気分じゃない時もあるっつーの。」

「そんな日あるの?下半身脳みそ男が?」

「死ぬほど失礼だな。」

「あんたの普段の行いのせいよ。」

「まだ再会して数ヶ月で分かった様な口利いてくんな、黙らせんぞ。」


 あんなことがあっても会ってみれば普通に会話は出来た。会いたくなかったのも本当なのに、冷静になれば26歳にもなってワンナイトごときでずっと怒っているのも時間の無駄に思えてきたし、このバーが好きだから来る回数も減らしたくない。

 こういう時、元カレとワンナイトだなんて…って、意識したりする方が可愛いのだろうけど、残念ながら私にはそんな可愛らしい所は残っていなかった。


「⋯私に可愛げがあればなあ。」

「え?可愛いよ、夏帆ちゃんは。」


 玲くんがそんな事を躊躇いもなく言うから、頬杖をついていた頬が思わず落ちる。この歳になって可愛いとか言われると思ってなかった。それにこんなに気が強くて口の悪い女が可愛いだなんて、何かの冗談でしょ。


「ええ、いや。可愛くないでしょ私。」

「可愛いよ、だから雅もちょっかいかけたくなるんでしょ。」


 その隣の誰かさんは面白くなさそうに、頬杖を着きながら玲くんの方を見ていた。もちろん奴から可愛いなんて言葉は出てこないし、期待はしていない。


「てか、2人は大学で何で付き合ったの?タイプ真逆なのに。どっちが告白したとか凄い気になるんだけど。」


 玲くんにそう問われ私と雅は顔を見合わせる。

 何で…だっけ?顔がタイプだった事は間違いないんだけど。そう言えば雅と私が付き合ったきっかけなんだった?しばらく忘れていた過去を掘り起こすかの様に記憶を蘇らせる。
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