執拗に愛されて、愛して
「この後、用事無いなら抜け出さない?」


 そう耳元で言われて、顔が熱くなる。雅ももしかしたら私との時間が終わるのが惜しいのかもなんてとことん期待値だけ上がった。同時に周りには綺麗な人もノリのいい人も沢山居たのにどうして私だったのかと、疑問に感じた。


「何で…?」

「もっと2人で居たいから。」


 そんな事を言われたら拒める訳が無い。ここで捕まったらだめだと分かっているのに、この悪い誘いに乗って一緒に誰にもバレない様にこっそりと店を出てしまった。

 幸い私達に気付いた人は居なさそうで安堵したが、雅は人気のある人だったから、私がひとり占めしてしまっていると思えば少しだけ罪悪感があった。私なんかがこの人と2人で過ごしてしまって良いのだろうかと。


「誰にも言わないで、良かったんですかね。」

「良いよ。誰も気にしてないから。でも、面倒だし2人の秘密。」


 毎回飲み会でこんな風に女の子を連れ出してるはずって、経験が無い私にもわかるのに、どこまれも引きずり込まれる。

 大人っぽい雰囲気で、会話もリードしてくれて、同級生では感じられなかったときめきを雅に感じて、それでいて見た目もタイプだから恋に落ちるまで一瞬だった。

 2人で居酒屋を出て、どこに行くとか、そんなの何も分かっていなくて、危険だと思っているのに、この人となら何があっても良いかもなんてことすら思ってしまっていた。
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