執拗に愛されて、愛して
「あの…、雅先輩。この後は…?」

「2人きりになれる所。」


 そう言われて思い浮かぶのは、当然入った事も無いのに、ネオン街で輝く大人のホテルの事がすぐに思い浮かんだ。ここでそう言う関係になったら間違いなく、ただの後輩では居られないし、当然彼女にもなれないと思っていた。

 それと問題はまだあって、私は男性とそう言う経験が無い。もし、初めてだとバレれば、雅は私を面倒だと思って離れてしまう気がした。

 雅の方を見ると雅は軽く首を傾げてこちらを見る。それから見つめ合うと、雅は私の手を掴んでそのまま触れるだけのキスを唇に落とした。

 こんなに簡単にファーストキスを奪われるなんて思っていなくて、その場で固まる。軽い感じであっさりと奪われたのに嫌じゃなくて、そのまま雅を見ると至近距離で見つめ合う。


「俺の家、近いんだけど来る?」


 引いておくならこれが最後のチャンスだった。安直で判断がまともに出来ない子供な私と、手慣れていて危険なこの人。どう考えても遊ばれているだけなのに、分かっていても関係を今切りたくなくて首を縦に振った。

 これがもし一夜だけでも、この人に初めてを貰ってもらえるなら一生の思い出になるかもしれない。ただ初めてだというのは隠し通さなきゃ。なんて緊張と、初めての事で恐怖も感じている。

 初めてを交際前の男子にあげるなんて、本当に馬鹿げていたけれど、もう後戻りは出来なかった。
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