執拗に愛されて、愛して
 息してと言われてもそんな余裕は無くて、必死に応えていると時々口を離して、息が上がる私を見て、ほんの少しだけ休ませると何度も何度も唇を重ね合わせた。こんなにキスって気持ちいいものなんだと、雅に教え込まれる。


「初めてじゃないなら遠慮いらないよな。ここでする?大きな声出したら隣の人に聞かれそうだけど」


 耳元で囁かれ、首を必死に横に振った。玄関先で初めてを終わらせるなんて事したくない。雅の胸元のシャツを掴んで見上げると、少し笑って頬に口付けてくる。


「上がって。」


 そう言われるがまま靴を脱いで、家の中に上がると角にあるシングルベッドまで腕を引かれ、そのまま押し倒される。いざそうなると、心の準備はしていたはずなのに怖くなってくる。


「あの…、雅先輩。シャワー…。」

「いいよ、そんなん。これ以上待てない。」


 そう言って唇にキスをすると、私が震えている事に気付いたのか、手を恋人繋ぎの様にして握ってくれる。先程まで少し乱暴だったのに、今は驚く程優しくて、恋人の様に甘くしてくれた。

 身体を重ねる間にもどんどん雅を好きになって、その間は息が詰まりそうだった。この行為が終わったら、きっと何事も無く彼女にもなれないままいつもの日常に戻っていく。
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