執拗に愛されて、愛して
 それからも、学食とかで会って目が合うと雅は少しだけこちらを見て笑って、わざと近くの席に座ってくる。私は極力距離を置こうとしているのに、あの男はこの秘密恋愛をバレない様にするというスリルすら楽しんでいる。

 本当に性格が悪い。


「最近雅付き合い悪くね?」

「今は付き合い立てで、可愛い彼女にお熱だから。」

「きっしょ。」


 揶揄われている雅に顔が赤くなって、そんな私を友人が「大丈夫?」と心配してくれていた。私は何とか頷いて返事をして、水を飲む。

 何で私が居るって分かってるのにそう言う発言をしてくるのか。私は雅みたいにうまく隠せる方じゃなかったから余計に苦労をした。


「同い年?」

「いや、年下。大人っぽいのに初々しくて可愛いんだよね。」


 私の目の前でそんな事言ってくれた事無いくせに。友達の前や私がいる所でわかりやすく惚気けてきて、私はそれに何も言い返せないから、言われるがままだ。


「夏帆、耳と顔真っ赤。本当に大丈夫?熱あるんじゃないの?」

「ちょっと熱くなってきたよね、もうすぐ梅雨入りだし。」


 なんて苦しいにも程がある言い訳をする。雅のせいで私がこんな誤魔化し方をしなければいけないの本当に苦しいからやめてほしい。

 雅の方を見ると、雅もこちらを見ていてふっと私にしか分からない様に笑いかけてくる。
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