執拗に愛されて、愛して
 その日の夜。私の家に雅は突然押しかけて来た。

 普段連絡も無しに突然来る事なんて無くて驚いた。
 雅は特にいつも通りの様子で、変わったところはない。


「どうしたの?急に来るなんて珍しい。」

「明日休みだし、バイトも無いしで来た。」

「連絡くらいしてよ。私居なかったらどうすんの?」

「その時はその時じゃん。てか、何ピリピリしてんの?」


 顔を覗き込まれたけど、顔を見られたくなくてすぐに逸らす。今は雅との関係性が分からなくなってから、1人で考えたくて会いたいと思ってなかった。会ったらどうせうまく流されるのも分かっていたし。


「夏帆?」

「…私達って、付き合ってるよね?」

「そうだね。」

「これから先、ずっと家でしか会えないの?」


 私がそう問い掛けると、雅は私が不機嫌だった理由を察した様で、少し笑って私の頬を両手で包み込む。


「それは夏帆次第じゃないの?」

「どういう意味。」

「付き合いがバレていいならいつでも外にデート行けるよ。俺はバレたくないって夏帆の気持ちを尊重してリスクは避けてるだけ。バレたくないんでしょ?俺との交際。」

「…バレないよ。たまに外出たくらいじゃ。」

「バレたら何されるか分かんないんでしょ?それとも、嫌になった?隠すの。」


 今思えば絶対わざとだったと思う。私が交際を隠したいなんて言った仕返しに雅はこんなセフレみたいな扱いをずっとしてきている。そう言う男だった。

 この時の私はそれに気づいていなくて振り回されていただけ。
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