執拗に愛されて、愛して
 それから数日後、ずっとこの関係性をどうしようかと悩む日々が相変わらず続いていたのだけど、思わぬ形で私達が交際している事はバレた。

 サークル内で集まって夏の活動について話していた時だった。旅行先をどこにするかなんて全員で相談していたけれど、私はほとんど話を聞いていなくて、ずっとスマホを眺めている。

 それから友人が先輩の所から帰ってきて、「ねぇ、夏帆。」とコソッと耳打ちしてきた。そちらに顔を向けると友人は何だかにやにやと口元を緩ませていて首を傾げる。


「今、先輩達の所からここに来る途中で、雅先輩のスマホのホーム画面見えたんだけど。」

「雅くんのホーム画面?」


 私の言葉に更ににやーっと友達の顔が緩む。まるで考えていた事を確信させる様な感じで「やっぱりね」と言葉も零していた。

 そこで間違いに気付き「あ」と声を上げて、両手で口を抑える。この時の私は気が緩んでいたのだと思う。いつもみんなの前では雅先輩と呼んでいるのに、つい気が緩んで2人きりの時の癖で雅くんと呼んでしまっていた。


「そういう事だと思った、雅先輩のスマホのホーム画面は夏帆とのツーショットだったし、2人が付き合った時期は同じだし、雅先輩の彼女は年下で、夏帆の彼氏は年上だし。雅先輩の事くん付けだし。」

「お願い、誰にも言ってないから黙ってて。」


 友達に顔を真っ赤にして慌てて縋ると「どうしようかな」と揶揄う様に言ってきた。

 雅の方を見ると、相手も頬杖を付きながらこちらを見て、目が合う。それから少し笑みを零していてわざとだったんだと気付いた。
< 63 / 331 >

この作品をシェア

pagetop