執拗に愛されて、愛して
 今日は顔合わせだけだし、雅には奇抜じゃなければどんな格好でも良いと言ったのだけど、カジュアルなスーツを着てきていた。控えめに言って最高。すごく似合っていて、格好良くて思わずじっと見てしまう。


「というかスーツじゃなくていいって言ったのに。」

「カジュアル系にはしてきたろ。本当優秀俺。」

「今日だけは素直に褒められるわ、スーツ似合いすぎて大優勝。」


 それにちゃんと手土産も用意してきていたから、本当に営業で働いていて、元々常識がある事はわかった。この女癖さえなくて、普通に生活していたら本当に優良物件だと思う。


「あー、本当。このクズさと女遊びさえなければな。」

「でも顔は好きだろ?」

「そこだけはまじで満点。」


 悔しいことに否定は出来ない。飲み干したビールの缶をべこっと片手で潰すと、雅は笑っていた。

 多少のイケメンくらいであれば顔は好きだろ?なんて言われても自惚れるなと一蹴できるのに、雅に言われると否定する余地も無くて、肯定ばかりしてしまう。私がこの顔を好きすぎるというのもあるけれど。


「よし!今日は全部私持ち!」

「え、お前。金持ってんね、養ってくんね?」

「馬鹿じゃないの、プライドを持て、プライドを。」


 何故2つ上の男を私が養わなければならないのか。
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