執拗に愛されて、愛して
 浴衣の上に紺色の羽織を着て、髪を結い直して部屋に戻る。

 戻った頃には雅も着替え終わっていてそれがまたすごく似合っていた。

 1日に顔が良い男のスーツ姿も見られて、浴衣姿も見られるなんて、どんな贅沢なのか。


「うわあ、ムカつくけど何着ても似合うわね。」

「まあ俺だし?」


 そう言いながら私の首筋に触れてくる手を思いっきり払う。誉めたからって簡単に触れられて良いわけない。隙を見せたら簡単に入り込まれる。


「いいじゃん、触れても。エロすぎて触んなとか無理。」

「本当そういうことばっか言ってたら慰謝料としてここ全部あんた持ちにするから。」

「やっすい慰謝料だな。お前そんな安く買えるの。」

「調子のんな。」


 そんな会話をしてから、一緒に部屋を出て町中に向かう。

 親への挨拶で来たはずなのに、この男とこんな旅行みたいなことをしているのは変な感じだ。
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