執拗に愛されて、愛して
 口付けを交わしながら浴衣を開けさせて、それから首筋や胸元に優しく唇を押し当ててくる。


「は…、本当ここの旅館にして良かった。浴衣最高。」

「馬鹿じゃないの、最初からその気しか無いんじゃない。」

「当たり前じゃん。嫌だったら俺と2人きりにならない方が良いんじゃない?」

「もう諦めた、あんたも寂しいんでしょ。時々だったら慰めてあげる。」


 そう言いながら背中に腕を回すと、ふっと笑みを零して「お前が遊んでくれるなら他いらないかも、お前に勝てる女なんか居ないよ」なんて、誰も嬉しくない言葉を掛けてきた。


「…全然嬉しくないから。バカじゃないの。」


 そんな会話をするも、もう黙れとでも言いたげに強引に唇を塞がれる。こんなに強引なのに嫌じゃなくて、それに触れてくる手だけは凄く優しい。

 こんな風に求められて愛されているみたいに抱かれる内に、実はまだ私はこの男が好きなのではないかなんて勘違いしてしまいそうになる。

 私が小さく声を漏らすだけでも愛おしそうにこちらを見て、微笑んでくるその顔も、恋人関係なんてなりたくない。いらない。と思っているのに、この瞬間だけは、雅と恋人に戻るのも悪くないかも…なんて脳がバグを起こして、全部全部受け入れてしまいたくなる。
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