お守りに溺愛を込めて~初恋は可愛い命の恩人~
幸せを噛みしめていたのがどのくらいの時間か分からないが、ようやく響の腕が私をそっと解放した。
そして、顔を見合わせて二人同時にふっ…と照れた様に笑むと、私の好きな香りがふわりと漂った。
「響、メンズブランドのフレグランスつけてるでしょ?それね、私の大好きな香りなの。…だから毎月の食事の時、響から香る度にドキドキしてたんだよね、エヘヘ」
実はね、って感じでそう言うと「これもそうだよ」だって。
「何が?」
「入社した翌年の春頃に、奈都子がこの香水が好きだって話を楢橋としてたのを耳にしてさ」
「え!」
「それ聞いたその日に買って、月イチの食事の時にだけつけてたんだよ。好きな香りにつられて俺のことも好きになればいいのに、って」
「…そうなの…?」
「このヘアスタイルだってそう」
「えぇ!?」
「それもやっぱり楢橋と話してた時だったな。休憩室で雑誌見ながら男の芸能人の話しててさ、何だよ男かよ、って気になって聞き耳たててたら、奈都子が『これって桜賀に似合いそう』とか言うから後ろからこっそり見たんだよ。…で、すぐに変えたらさすがにバレるかなーとか思って1か月後くらいにその髪型にしてみてさ。けど、元々ちょっと癖毛でそれまでも似たような感じだったし、かけてもあまり目立った変化はなかったから、気付かれなかったっぽいけどな」
「うっ、ううん!それ、すぐに気付いたよ!えっと…スパイラルパーマって言ったっけ、その緩めのパーマがほんとに桜賀に似合うと思ったの。それである日見たらその髪型になってて、うわー、やっぱり似合ってるし、すっごいカッコいい!ってドキドキして。でも気持ちがバレたらまずいと思って必死に平静を装ってたんだ。…あ、桜賀って言っちゃった、ごめんね」
「はは、いーよ。けどホント奈都子に名前で呼ばれんの、すげぇ嬉しいな……ハハッ」
なんて、指で鼻先を掻いて照れを隠す響がかわいくて胸がキュンキュンとくすぐられる。
「…って奈都子、俺のことカッコいいって思ってんの?」
「そりゃあ思うよ。誰が見ても本当にカッコいいもん」
それはもう当たり前の事だと思ってそう言ったんだけど。
「いや、ちょっと待って」
と…響が片手で口元を隠してる。
「どうしたの?」
「や…奈都子にそう思われてんのが何か意外で…嬉しすぎて顔がヤバい。マジで素直に嬉しい」
なんて、それこそ外見を褒められて照れるなんてのは予想外で、またもやキュンと胸が甘く鳴った。
「ふふっ。……あ、もうこんな時間なんだね…じゃあ今日はそろそろ帰ろうかな」
「そっか……なら家まで送るよ」
というご厚意に対し、申し訳なくて〝でも…〞と口から出かかったところで思い直した。
「ありがとう、お願いします」
きっと断ったところで響はついてくるだろうから、ここは素直に甘えることにしたの。
「奈都子、俺のことが分かってきたみたいだな」
「ふふ。わざわざ家までなんて申し訳なく思ってるけど、心配してくれる気持ちも分かるし」
「ん、よろしい」
なんて言葉もきっと響の照れ隠し。