お守りに溺愛を込めて~初恋は可愛い命の恩人~
今日は金曜日。
まだ多摩支店で働いている私と、本社勤務の響。
仕事が終わると新居の最寄り駅で待ち合わせて、一緒にスーパーで買い物をして帰るの 。
冷たい北風の吹く寒い今日は、こたつのテーブルにコンロを置いての水炊き。
肉団子とたくさんのお野菜、それに昆布とお豆腐もたっぷり入って、心も身体もほっかほか!
食後のデザート代わりに、二人で『たからばな』の貴醸酒(きじょうしゅ)をソーダ割りで飲んでいると、響が「仕事の話なんだけど」と話し出した。
「母さんが仕事で奈都子に頼みたいことがあるってさ」
「頼みたいこと?」
「あぁ、新しくできる窓口業務で必要なモノを奈都子と選びたいって」
「えっ、それ、私でいいの?」
「あぁ。大方の必要な物はわかってるんだけどセンス的なものとかさ。あと使いやすい日用品や文房具がどんな物だとか、そういうフォローをしてほしいみたいで」
「それなら響がやってもいいんじゃない?」
「いや…実は最初に聞かれて、カタログ見ながら『こういうのとかいんじゃね?』っていくつかマジの意見を出したんだけど『ちょっとセンスがねぇ…』とか言うんだぜ?」
少しぶすっとしながら言う響に、少しだけ笑いが漏れちゃった。
「あはっ、そうだったんだ。けど、私もセンスを問われたら自信はないなぁ」
「でも、奈都子は窓口スタッフに一番に決まった人材だし、やっぱ実際にそこで働く人が使うものだからさ、奈都子に頼みたいんだよ」
「んー…それなら…力になれるか不安だけど、お手伝いさせてもらうね」
「ほっ、良かった。ある程度選んだら、購入の前に実物を確認しに業者に出向く事になるんだけど、それは俺も一緒に行くからさ」
「えっ!そこまで大事なお仕事に関わらせてもらっていいの!?」
「もちろん。…おっと、大事な仕事と言えばもう一つあったんだ。あのさ、奈都子に窓口のチーフを任せたいと思ってるんだけど」
「えぇえ!? チーフ!?」
「うん。ベテランも数人いるんだけど、彼女達はパート勤務になるし、他の若手は奈都子より経験が浅かったりな」
「あー、そういや葵が言ってた。応募用紙に役職を希望するかしないかの問いがあったって」
「あぁ、それそれ。だからほとんどの人は〝希望しない〞でさ」
「ん?『ほとんど』ってことは、他にも希望者はいたんでしょ?その人達にもちゃんと聞かないとなんじゃ…」
「あぁ、希望者は一人だけいたけど、それ楢橋だから」
「葵が?」
「そ。実は楢橋に言っといたんだよ、応募の詳細を聞かれた時に、奈都子をチーフに起用するつもりでいるって。…だから、奈都子だけじゃなくて、楢橋にも一緒に担ってもらうつもりだけどな。一人だと大変だろうし」
「そうだったんだ…うん、私でよければチーフやるね」
葵も一緒なら心強いし、それならば!と俄然やる気が漲ってきた。
「で、窓口は4月オープンだし、来月は研修も始まるから、その前にってことで今月中に選んでおきたいから、来週入ったら頼むな」
「わかった!ふふ、すごく楽しみだな」
「で、もう一つ仕事に関する話があるんだけど…こっちがちょっと厄介そうっていうか」
そう言うと、響は空のグラスに無糖のソーダ水だけを入れて、クッと飲んだ。
まだ多摩支店で働いている私と、本社勤務の響。
仕事が終わると新居の最寄り駅で待ち合わせて、一緒にスーパーで買い物をして帰るの 。
冷たい北風の吹く寒い今日は、こたつのテーブルにコンロを置いての水炊き。
肉団子とたくさんのお野菜、それに昆布とお豆腐もたっぷり入って、心も身体もほっかほか!
食後のデザート代わりに、二人で『たからばな』の貴醸酒(きじょうしゅ)をソーダ割りで飲んでいると、響が「仕事の話なんだけど」と話し出した。
「母さんが仕事で奈都子に頼みたいことがあるってさ」
「頼みたいこと?」
「あぁ、新しくできる窓口業務で必要なモノを奈都子と選びたいって」
「えっ、それ、私でいいの?」
「あぁ。大方の必要な物はわかってるんだけどセンス的なものとかさ。あと使いやすい日用品や文房具がどんな物だとか、そういうフォローをしてほしいみたいで」
「それなら響がやってもいいんじゃない?」
「いや…実は最初に聞かれて、カタログ見ながら『こういうのとかいんじゃね?』っていくつかマジの意見を出したんだけど『ちょっとセンスがねぇ…』とか言うんだぜ?」
少しぶすっとしながら言う響に、少しだけ笑いが漏れちゃった。
「あはっ、そうだったんだ。けど、私もセンスを問われたら自信はないなぁ」
「でも、奈都子は窓口スタッフに一番に決まった人材だし、やっぱ実際にそこで働く人が使うものだからさ、奈都子に頼みたいんだよ」
「んー…それなら…力になれるか不安だけど、お手伝いさせてもらうね」
「ほっ、良かった。ある程度選んだら、購入の前に実物を確認しに業者に出向く事になるんだけど、それは俺も一緒に行くからさ」
「えっ!そこまで大事なお仕事に関わらせてもらっていいの!?」
「もちろん。…おっと、大事な仕事と言えばもう一つあったんだ。あのさ、奈都子に窓口のチーフを任せたいと思ってるんだけど」
「えぇえ!? チーフ!?」
「うん。ベテランも数人いるんだけど、彼女達はパート勤務になるし、他の若手は奈都子より経験が浅かったりな」
「あー、そういや葵が言ってた。応募用紙に役職を希望するかしないかの問いがあったって」
「あぁ、それそれ。だからほとんどの人は〝希望しない〞でさ」
「ん?『ほとんど』ってことは、他にも希望者はいたんでしょ?その人達にもちゃんと聞かないとなんじゃ…」
「あぁ、希望者は一人だけいたけど、それ楢橋だから」
「葵が?」
「そ。実は楢橋に言っといたんだよ、応募の詳細を聞かれた時に、奈都子をチーフに起用するつもりでいるって。…だから、奈都子だけじゃなくて、楢橋にも一緒に担ってもらうつもりだけどな。一人だと大変だろうし」
「そうだったんだ…うん、私でよければチーフやるね」
葵も一緒なら心強いし、それならば!と俄然やる気が漲ってきた。
「で、窓口は4月オープンだし、来月は研修も始まるから、その前にってことで今月中に選んでおきたいから、来週入ったら頼むな」
「わかった!ふふ、すごく楽しみだな」
「で、もう一つ仕事に関する話があるんだけど…こっちがちょっと厄介そうっていうか」
そう言うと、響は空のグラスに無糖のソーダ水だけを入れて、クッと飲んだ。