お守りに溺愛を込めて~初恋は可愛い命の恩人~
「よーし、お掃除と整頓、完了っ!…てもうお昼近いんだ…響はもう少しかかるかなぁ」

時計を見ながら独り言の様に呟くと、ちょうど玄関の開く音がした。

「おかえり!響」
「ただいま、奈都子」

私の顔を見て柔らかい笑顔を見せる響に、私も自然と表情に嬉しさがあふれてしまう。

「ふふ、思ってたより早かったね」
「ん、早く奈都子に会いたくて急いだ。って言ってもちゃんと安全運転してきたからな?」
「うん、わかってるよ。響の運転は信頼してるから」

「ありがと。あぁ、忘れない内に。はい、これ母さんから奈都子に、って」
「え、ありがとう。何かな?」

響が手持ちの紙袋から取り出して私に手渡してくれたのは、お花とレースの柄が可愛らしい薄ピンク色の箱。

早速開けてみると、そこに入っていたのはおいしそうな焼き菓子!
しかも個包装のラッピングがまたラブリーな可愛さで、開封するのがもったいないくらい。

「実家の近くに新しくできた店なんだってさ」
「そうなんだ!いいなぁ、こんな可愛らしいお菓子のお店が近くにあって」

「前に、奈都子が焼き菓子が好きなことを母さんに話したからかな、今日、これを渡すように言われて」

「じゃあ、わざわざ買ってて下さったの!? わあ!嬉しい!」
「ふ、喜んでくれてよかった」

「早速お礼のお電話しないとね!」
「あぁ、それはいいよ。きっとそう言うと思って、母さんには俺から言っておいたから。3月の初めの週に、カタログで選んだ事務用品を卸問屋に見に行くだろ?奈都子が直接母さんに礼を言うならその時でいいよ」
「でも…」
「大丈夫。母さんも奈都子がそう言うのは分かってるから」

「ん、わかった。じゃあお会いした時にお礼言うね。…そうそう、お昼どうする?お腹すいてる?」
「いや、まだそんなにすいてないかな。奈都子は?」
「私もなんだよね。じゃあ…このお菓子、早速頂いてもいい?」
「もちろん」

「やった!どれどれ……わぁ…お花や動物の形も…ほんとに可愛くておいしそう!響も一緒に食べるでしょ?コーヒーいれるね」

可愛らしいお菓子を目の前にしたらワクワクが止まらなくて、早足でキッチンへと向かう。

せっかくだからコーヒーもインスタントじゃなくてドリップがいいよね!
なんてウキウキと棚からコーヒーメーカーを出していると、後ろからそっと抱き締められた。

「ん?どしたの?」

「…可愛くておいしいのは奈都子だよな?」
その言葉の後、首筋に響の唇が触れた。

「っ!」

「俺はお菓子よりも甘ーい奈都子を味わいたいかな」

私の首筋を響の唇と舌がねっとりと這う。

「んっ……響……まだお昼だよ…?」
「昼に奈都子を抱いちゃダメなの?」
「…え…っと…ダメじゃないけど」
「じゃあ奈都子を愛させて。もう…大好きで…愛したくて…仕方ないんだ」

そんな言い方をされたら、すごく嬉しくて、すごく幸せで…くるっと振り向くと響の目を見て答えた。

「私も響を愛したい!」
「奈都子…!」


別居は約1か月間という期間限定ではあるが、毎日一緒にいられるのが明日まで、という事情が私達を燃え上がらせているのかもしれない。

それでも…
自分の気持ちに素直になりたくて、私の想いを響に届けたくて…

私達は理性を捨て、思う存分心のままに愛し合った。

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