お守りに溺愛を込めて~初恋は可愛い命の恩人~
「あー!美味い!やっぱこの味だな!奈都子の味!俺、この味付け大好きなんだよ」

私の作った豚肉とお野菜たっぷりのおかずをニコニコしながら頬張る響を見て嬉しくなる。

「ありがとう。でもお母さんのごはんもおいしいでしょ?〝おふくろの味〞って安心するっていうし」

「おふくろの味か……うちは昔からスーパーの惣菜とか多かったからな」

「そうなの?」

「うん、母さんは仕事が忙しかったし。手作りも無くはないけど少なかったな」

「そっか…女手一つで仕事と子育てとじゃ大変だもんね」

「けど、俺も姉貴も気にしてなかったよ。惣菜もいろんなのがあって好きだったし」

「ほんと、スーパーのお総菜はおいしいし、作るのがしんどい時とか本当にありがたいんだよね。そうそう、前に住んでたマンションの近くのスーパーのひじきの煮物!あれが大好きで、よく買ってたなぁ」

「あぁ、あれな。確かに旨かったよな、薄味だけど出汁が効いてて」

「そうなの!だから、あの味に近付けるように頑張ってみようと思ってるんだ」

「ハハ、期待してる」

「うん!…あ、そういえば、例のあの人の事だけど…」

「あぁ、じゃあその話はメシ食い終わってからにしよ。今は奈都子の美味いごはんを堪能したいし」

「ん…わかった」

…その響の言葉があまり良くない内容であることを物語っており、心に少し緊張が走った。
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