お守りに溺愛を込めて~初恋は可愛い命の恩人~
「ちょっとちょっと葵ちゃん、一体何なの?あの子は。それに何で桜賀くんもビシッと言わないのかしらねえ。それより桜賀くんは何しに来たの?用件も何も言ってないわよねえ」

そう早口で葵に問う芝田さんに、葵が答える。

「あー、それはナツコに会うためですよ。さっきオフィスを出る前に、桜賀に〝ナツコと5階の社食に行く〞ってメッセ送っといたんで」

「そうなの?」
「んふふ、そう送っとけば来ると思ってさ。ってか実際に来たでしょ?お邪魔虫がいなきゃここで食べてったわよ、あいつ」

「でも戻っちゃったわよお?」

「桜賀が遠慮したんでしょうね。うるさいあの女がいたらナツコはもちろん、あたし達にも迷惑がかかると思って厄介払いのために身を引いて」

「響…」

「んまあ、何て男前なのかしらあ!」
「ほんとよねぇ、大好きな恋人を気遣って身を引くなんて、中々できないわよ?」

「あー、それとですね、桜賀がビシッと言わなかった理由ですけどね」
と、続けて葵がこれまでの事を説明してくれた。


「…そういうことなの…それで桜賀くんは奈都子ちゃんとのことを隠してた訳なのねえ」

「このメンバーには隠せてなかったですけどね」
という葵の言葉に、メンバーから、フフッ、クスッと笑いが漏れた。

「でもね奈都子ちゃん、桜賀くんはあの子には何の気も持ってないから安心なさいな」
「そうそう、ドーンと構えてていいわよ!」
「本当にあの人、桜賀さんに相手にされてませんもんね」
「そりゃそうよ、奈都子さんと比べるのもおこがましいくらいだし」

等々、メンバーの皆さんが口々に私を励ましてくれる…

「ほらナツコ、みんなこう言ってるんだから、あんな女なんか気にすることないわよ」

葵の言葉に続いて、皆さんが「うん、うん」「大丈夫!」と頷き、それを見て目に涙の膜が張っていく。

「アハ……ありがとうございます…すごく心強いです…」

必死に涙が粒になってこぼれないように気を張っていたけど、芝田さんに「もおー大丈夫よお、あたしが保証するから!」とハグされ、我慢の甲斐なく涙が溢れてしまった。
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