お守りに溺愛を込めて~初恋は可愛い命の恩人~
各自好きなお店で食券を買い、順にできあがったお料理を持ってテーブルに着くと、みんなで一緒に「いただきます」。

カレーライスを食べる前にお水を一口飲むのが私のクセというかルーティンで、お水の入ったグラスを口に付けたところに、隣に座った芝田さんが「それでさあ」とテーブルに肘を乗せて私に顔を近づけて言った。

「桜賀くんて、奈都子ちゃんのカレシよね?」


…ブホ!
いきなりの質問に思わず吹いてしまったけど、コップに口をつけたままでよかった…

「ちょちょ、何で芝田さん、それ」
すかさず葵が問うと、芝田さんは「見ればわかるわよお!あははは」と豪快に笑った。
そして、それを見る他の皆さんも驚くことなくニコニコと笑ってる。

てことは…

「皆さんもご存知で…というか、気付かれてました…?」
恐る恐る聞くと、皆さん揃って、うん、うん、と頷いた。

「あー、もしかして桜賀の態度で?」

「もちろんよお。奈都子ちゃんだけ見てもちょっと分からなかったけど、桜賀くんは隠そうとしてないでしょう?言わずとも分かってたわよお」

相田さん達も言ってたけど…
そんなに分かりやすかったんだ、響。


芝田さんのその言葉に葵と顔を見合わせていたが、葵がコホンと小さく咳払いをして話し始めた。

「あのですね、桜賀は隠してたつもりでしたよ、あれで」

「あらまあ、そうなの?でもその大好きな気持ちを隠せないって良いことだと思うわよお」
「ほんとほんと、素直って素敵よね」
「素直な奈都子ちゃんとベストパートナーだわ!」
「見た目もお似合いだし、こんなにグッドなカップルもそうそういないわよー」


皆さん…

心がじぃん…と温かくなりながらカレーライスを美味しく食べていると、私の後ろの方からキャッキャッと騒ぐ女性の声が聞こえてきた。


「あ」

私の向かいに座る葵が「噂をすればなんとやら。お邪魔虫付きだけど」と表情をなくして言う。


あぁ…響と川嶋さんなんだ…

すると芝田さんが葵に「来たの?桜賀くんが来たの?お邪魔虫ってもしかして、朝、副社長さんと桜賀くんと一緒に来てる、あの子?」とまたテーブルに肘をついて鼻息荒く話しかける。

「そうです。ほんっと、とんだお邪魔虫で、こっちはプンスカですよ」

「あらあ…そうなの…それは困るわよねえ、奈都子ちゃん」

「あはは…まぁ…」

とりあえず愛想笑いで濁していると、響の「お疲れ様です」という声が聞こえてきた。

それに「おつかれー」と葵が返すから、私達に向かって言ったんだと分かった。

すると皆さんも葵に続いて「お疲れ様です」と口々に言うから、私も振り返り「桜賀、お疲れ様」と返す。


「皆さんお揃いなんですね」

「そうなのよお!やっぱり仲良くなるにはご飯が一番よねえ。みんな若いのにいい子達ばっかりで楽しいわあ、アハハ」

芝田さんが朗らかに返すと桜賀は「それは良かったです」と笑った。
でも、その笑みはどこか力なくて心配になる。


そこへ「響さんッ、…じゃなくて桜賀先輩、お弁当作ってきたから早くお部屋に戻って一緒に食べよ?」と川嶋さんが響の肘の辺りを軽く掴んだ。

「いや、俺は昼メシあるから」

「そんなお菓子みたいな軽食じゃダメ!倒れちゃうってば!私、ちゃんと栄養も考えて作ったんだから」

「時間もないし、俺はこれ」
と手にしていたモスグリーンのエコバッグを軽く持ち上げた。

「ダーメッ!私の手作りのお弁当、一緒に食べるの!…あっ、皆さんのランチのお邪魔してすみませんでしたぁ。…ほらほら、桜賀先輩、戻りましょ」

「…ハァ……わかったから…」

と、またいつもの感じのやり取りを一方的に見せられて、嵐は去っていった。
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