お守りに溺愛を込めて~初恋は可愛い命の恩人~
「奈都子、俺達の結婚式はどうしたい?」
「えっ、結婚式!?」
一緒に帰宅しながら考えていた事を、夕飯を食べながら奈都子に問う。
あまりにもいきなりだったから、ちょっと戸惑ってるみたいだけど。
「そうだなぁ……うん、私は何でもいいよ。って言うと適当みたいに聞こえるけど、本当にどんなお式でも私は幸せだから。でも…我儘を言わせて貰えるならドレスが着たいかな。だからチャペル式か人前式になっちゃうけど」
「全然ワガママじゃないよ。奈都子のやりたいようにしようよ。じゃあ披露宴は?どんなのにしたい?」
「披露宴……んー…そうだなぁ……するとしたら、家族や親戚とお互いの共通の友達や親友をご招待して、ちょっとしたお食事会みたいな感じ?」
「奈都子は友達をたくさん呼んだりとかしたくないの?」
「んー…昔は理想みたいなのはあったけど、今はこだわってないから。…じゃあ響は?こうしたい、とか、これは嫌だ、とか」
「俺は奈都子のしたい披露宴がいいな」
「でも響、言ってたよね。披露宴は無理だって」
…てっきり奈都子は俺の言ったことも隠し通すと思ってたけど、意外にあっさりと言われてしまった。
じゃあ…俺も合わせておくか。
「あー……いつだったかそんなこと言ったっけ」
「うん。私は結婚式ができるだけで充分だから、一般的に言う〝披露宴〞ていうより、来て下さった親戚やお友達をおもてなしするお食事会がいいんじゃないかな、って」
「俺は奈都子がやりたいような披露宴がしたいけど」
「…ありがとう。でもこれが私のしたい披露宴だから」
「…本当に?」
「うん。本当だよ」
「そっか、わかった。じゃあさ、俺達の結婚式の話は、楢橋と爽維さんの結婚式が終わったら始めようか」
「そうだね。ふふ、楽しみだなぁ」
そう穏やかな笑顔を見せた奈都子だけど、自分の夢である『賑やかな披露宴』の事は、この後も俺には一切明かさなかった。