お守りに溺愛を込めて~初恋は可愛い命の恩人~
「ちょっと川嶋さん…あなた本当に何を言っているの?これじゃ、あまりにも娘さん達が可哀想よ」

「だって私の娘ならどっちにしても私の孫でしょ?生まれてきたら私と誠人さんの孫になるもの」

「誠人さんて……私の夫の?」

「決まってるじゃない。あなたが誠人さんを離さなかったから、こうして孫だけでも繋がろうとしてるんじゃないの。きっと誠人さんもそれを望んでいるわ。…ほら…響くんて誠人さんに似てるんだもの…響くんの子ならきっと誠人さんにも似るはずだわ…」

恍惚な表情を浮かべながら川嶋専務が響に手を伸ばすと、私は考えるより前に体が動き、気付けば響を庇うように響と川嶋専務の間に入っていた。


「あら、アナタ……はぁ…本当に邪魔ばかりしてくれるわね」

「もうやめて下さい!あなたも、あなたの娘さんも、はっきりと断られている事を理解して下さい!」

「断られてる?…私は違うわよ。吉澤が誠人さんを私に取られたくないからって遠くに隠したのよ。…だから誠人さんは私に会えなくて病気になった……誠人さんが死んだのはあんたのせいよ!」

そうお母さんを睨んだ川嶋専務に私は冷静に声をかけた。

「それは違います」

「はぁ!? あんたに何がわかるのよ!」

「お母さんと富永さんから昔のことを聞きました。響のお父様の誠人さんを好きだったあなたは、必死にアプローチしたけどお父様は全くなびかなかったと」

「…それが何よ!誠人さんが生きてたら私の元へ来てたはずよ!」

「あなたは知らなかったと思いますが、その頃のお父様は…既に病気が進行していて先が長くないと言われていたそうです」

「な…」

「だから…最期は家族でゆっくり過ごしたいというお父様の希望で、まだ小さかった香奏さんと赤ちゃんだった響を連れて、一時的ではありましたが地方へ移り住んだんです。…その頃のお写真を見せてもらいましたけど、お父様もとても幸せそうでしたよ」

「…そんな…」

「分かりますか?あなたの入る余地など全くなかったんですよ。…そんな家族を愛するお父様が、あなたとの孫を望む訳がありません!」

「でも…私達は心と心で繋がって…」

「これ以上、お父様を汚さないでもらえますか?私の愛する夫の大事なお父様を、あなたの身勝手な妄想に付き合わせないで!」

「…っ……」

怒りのあまり勢い付いたら止まらなくなってしまったけど、私のその剣幕に川嶋専務は怯んだようで、言葉を発することはなかった。

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