お守りに溺愛を込めて~初恋は可愛い命の恩人~

…ちゃぷん。
ぱちゃっ…


「はぁ、落ち着く~」
「ん、家の風呂って落ち着くよな」


響とゆっくり浴槽に浸かっていると、不意に響が後ろから私の肩を抱くように左手を握ってきた。
すると、カチ、と指環同士が軽く当たった音を鳴らし、それは私達が夫婦であることを改めて実感させた。


「…結婚式って大事なことなのに、サプライズにするとか、勝手に決めてごめんな」

申し訳なさそうに言う響に、私は笑顔で答えた。

「ううん!サプライズにしてくれて良かったよ!あっ、それね、ドレスを脱いでる時に葵にも謝られたんだ」

「そうか」

「あのね、もし響が、私のやりたい披露宴をしていいよ、って言って、実際にそうしてたとしても、きっと心のどこかで『あー、響は本当はイヤなんだろうなー』って考えてたと思うんだ。だから…それだときっと準備の時から楽しめなかった気がするの、響に申し訳なくて」

「うん…」

「だからね、サプライズにしてもらって良かったっていうか、逆にありがたいと思ったし、何より大人数の披露宴でも楽しそうにしてる響を見られたから、私も楽しかったし、嬉しかったんだ。それは葵にも伝えたよ」

「そっか……奈都子がそう思ってくれるのなら良かった……ん、安心した」

「それにしても……響がすごくカッコよくて、ほんとびっくりしちゃった。今思い出してもドキドキするもん、ふふっ」

「俺、ヘンじゃなかったか?あんなちゃんとしたタキシードとか着たことないし、しかも白だろ?自分じゃ見慣れないから、何か違和感しかなくて」

「全ッ然!ほんとに似合ってたし、モデルさんて言ってもバレない位カッコよかったよ!私なんて隣に立つのが恐れ多かったんだから」

「え、何言ってんだよ、それは俺だっての。もうさ、奈都子のドレス姿がヤバいくらい可愛いくって綺麗でさ。特に胸元なんて色気ありすぎで、俺、いつ鼻血出てもおかしくなかったし。俺の鼻の毛細血管、よく耐えたよな」

「あはははっ、もう大袈裟だなぁ」

「や、マジで奈都子、綺麗だったよ。普段の可愛さに綺麗さが加わってさ。……ほんと、奈都子は俺の奥さんなんだよなー…って、最初っから最後までずーっとすげぇ嬉しかった」

そう言うと、私を後ろからそっと抱き締めてくれた。

「奈都子、26歳おめでとう。それと、俺の奥さんになってくれて、ありがとう」


「響…」

二人では少し狭い浴槽の中で何とか向きを変えて響の腿の上に座ると、私は正面から響を抱き締めた。

「ありがとう、響。…支店で辛い時も…私を救ってくれてありがとう…」

「いや、俺の方が先に救ってもらったんだよ。奈都子は俺の可愛い命の恩人だからな」

「…ありがとう……って、もう『ありがとう』しか言えなくなっちゃった。ふふ」

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