お守りに溺愛を込めて~初恋は可愛い命の恩人~
「はー……冷たくておいしー……濃厚で甘くてクリーミー…幸せー…」
やっぱりこのソフトクリームが一番好きだぁ。
「はは、本当に幸せそうな顔するなぁ」
「だって本当に幸せなんだもん」
ソフトクリームだけじゃなくて、桜賀とこうしていられるなんて、なんて贅沢な幸せだろう。
2人でまたテレビを見ながら話していると、あっという間に食べ終わってしまった。
すると桜賀が、んーっ…と腕を上に伸ばした。
「そろそろ帰るかな、眠くなってきたし。…なんか奈都子の部屋って、自分ちにいるよりも気持ちいいっつうか落ち着くな、ははっ」
「そぉ?」
「うん。…あーだめだ、早く帰らないとここで寝そう。つか寝てぇ…泊まってこっかな」
「いいよ、泊まってけば?」
「…え?」
「…あっ!ごめん!変な意味じゃないから!葵もよく飲んで泊まってくから、つい!」
「…じゃあ奈都子がいーなら、マジで泊まっていこうかな。あぁ、変な意味じゃなくて」
「桜賀が気にしなければどうぞ」
「マジでいいのか?」
「うん、桜賀ならかまわないよ。あ、男の人用のお泊まりセットはないけど」
「…あったらビックリだし」
「あはは、だよね。…じゃあもう少し飲む?ナッツもまだあるし」
「そうだな、少し飲もうかな。いいか?」
「うん、いいよ。じゃあ私もお付き合いしようかな」
「ってオマエも飲みたいだけだろ」
「あは、バレたか。ちょっと待ってて、準備するね」
と席を立ちキッチンへ向かうと、桜賀がついてきた。
「俺も手伝うよ。ずっと奈都子にやらせてて悪かったな」
「ううん、私のうちなんだし。桜賀はゆっくりしてて」
「いや、ここまでしてもらってて、何かしないと気が済まないつーか、落ち着かねぇ」
「あはは、いい人だね。えっと、じゃあ…水切りカゴのグラスとそこのお酒、持ってってくれる?そこにトレーあるから」
「これな、オッケー」
今までにはなかった、このとてもいい雰囲気が嬉しくて、自然と鼻歌を歌ってた。
恋人同士じゃないけどすごく幸せ。
けど、桜賀は、私が同期の友達だからこんな風に話せるんだろうな。
だから、私が桜賀に気持ちを伝えたら、きっとこの関係は崩れてしまう。
そうしたら桜賀は本音を話せる人が減って、また窮屈になっちゃうよね…
それだけは嫌だ。
小さい時から他人に気を遣ってきた桜賀を、もう苦しめたくない。
だから私は…
この恋愛感情を知られてはいけない。