お守りに溺愛を込めて～初恋は可愛い命の恩人～

10月下旬、迎えたお見合い当日──



ほぇー…

ここが、かの有名な高級ホテル『ラピスニューグランドホテル 高輪(たかなわ)』ですかぁ…

比較的新しいだけあってピッカピカだし、都会的な赴きのある内装がワクワクするし、何よりこんなに規模が大きいだなんてビックリ！
やっぱり遠くから見るだけじゃ全然すごさは分からないね。

…っと、こんなホテルの入口でお邪魔だったかしら。
オドオドしてると不審者に間違われそうなので、しゃんと胸を張ってロビーへ向かう。


このために上京してくるお母さんと１階のラウンジで待ち合わせてるんだけど……まだ来てないみたい。
腕時計をチラッと見て、空いてるソファに一人、腰掛けた。

お見合いなんて初めてだから、失礼の無いように言動に気を付けなきゃ。
一応、ネットで調べたけど、ピンクベージュのワンピースでもおかしくないんだよね？
上品めでシルエットがきれいに映るのにしてみたけど、TPO弁えてるよね？
もしかして紺のスーツの方が良かった!?
まさか、お見合いは着物着用が常識だったりするとか!?
うわー、どうしよう！大丈夫かな!?
いや今さらダメだと言われても困るんだけど！
とりあえずこのワンピースにシワは付いてないよね!?

…と謎の緊張をしながら座ったまま自分の姿を再度確認する。


けど…お見合いをしても、もし桜賀の事が忘れられなければ、断らないと逆に失礼だよね…

…いや、そもそもそんな気持ちで相手の方に会う事が失礼なんじゃない…？

いや、ほんと失礼だよね!?

などと今更ながら気付き、ここまで来ておきながら、本当にお見合いを受けてもいいものなのかと悩んでしまった。