告白[Confession of love]
「どうした、拓巳? 元気ないじゃん」

 告白した翌日の休憩時間、純太が声を掛けてきた。

 友人が多い純太は、他所のクラスで休み時間を過ごす事も多く、久しぶりに声を掛けられた気がする。

「いやまあ……その、何て言うか——」

「ハハハ、何だ? もしかして、誰かにフラれたりしたか? ん?」

 明るく俺を小突きながら聞いた純太だが、下を向いたまま答えられないでいると、俺の肩に手を回して小声で言った。

「す、すまん、マジだったのか? ——本当だったのなら、悪かった」

 純太はこういう優しい一面も持っている。俺が髪を染めた理由の一つは、純太への憧れもあったからだ。

「——誰にも言わないって約束してくれるなら、聞いてもらってもいい?」

「あ、ああ……もちろんだ。じゃ、放課後にでも聞かせてくれよ」

 純太はそう言って、優しく俺の背中を二度叩いた。

 俺は2日連続、放課後の教室で告白をする事になった。


***


 放課後、スマホをいじって待っていると、教室に純太がやってきた。

「昼間は悪かったな。——フラれたって、告白でもしたのか?」

「ああ、昨日。今と同じ時間、同じこの場所で」

「——そっか。でも勇気あるじゃん、直接告白するなんて」

「いや、迷ったよ。DMで告白しようとも思った。でも、なんとなく……初めての告白は、直接言った方がいいのかなって……」

「そっか、頑張ったんだな……偉いと思うよ、俺は」

 純太は足元に視線を落とし、「そっか……」と繰り返していた。

「まあ、ついでだから言っちゃうけど……九条に告白したんだ」

 そう言うと、純太は驚いた表情で顔を上げた。

「も、もしかして、何か知ってる……? 九条、誰かと付き合ってるらしいんだ」

 俺が言うと、純太はスッと目をそらした。

 純太は何か知っているに違いない。

 いや——

 知っているどころか、もしかして——

 
「——誰にも言わないって、約束出来るか?」

 純太は俺を見据えて、そう言った。

「も、もちろん……俺だって、九条にフラれた事は誰にも知られたくないから……」

「——確かにそうだな。分かった、話すよ」

 純太は空いている席に腰を下ろすと、一息吐いてから話し始めた。
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