君と始める最後の恋

　一緒に社内を回って彼女を紹介して、それだけで軽く午前中が飛ぶ。場所と人を紹介していくとちょうど昼休み前だった。

　小川くんも昼休み入るかな。と思い、営業のオフィスに戻ると、ちょうどきりが良かった様で、小川くんも休憩だと指示を受けていた。

　小川くんの表情からは困惑が読め、益々昨年の自分を思い出してしまう。


「じゃあ、水無月さんもお昼休み入っちゃおう！午後からは少しだけ基本的な業務の説明とかするね。」


　そう言うと水無月さんも笑顔で「はい！」と返事をして、お昼休憩に入っていく。ここでようやく私も、自分のデスクに着けた。


「新人にすごい手掛けてるみたいじゃん。」


　隣から飛んでくる声に視線を向ける。

　言うまでも無く相手は一ノ瀬先輩で、真顔でこちらを向いていた。


「そりゃ掛けますよ、1日目ですし。」

「君自分の仕事もあるのに大丈夫なの。」

「今日は残業する覚悟です！」


　もちろん自分の仕事は全く進んでいないので昼休み返上で働く。少しでも終わらせておかないと夜に響きすぎてしまう。