君と始める最後の恋
揺れ動く感情
 今日は先輩とお出かけの日。

 沙羅さんと充さんへのお祝いを買って夜に少しだけ顔を出そうと話していた。久しぶりの買い物のお出かけ、ずっと前から楽しみにしていて、当日が来て浮かれている。


「何が良いんでしょうね、性別とかもう分かってるんですか?」

「女の子じゃないかって、次の検診には更にはっきり分かるみたいだけど。」

「ええ、絶対可愛い、充さんと沙羅さんの子…。」


 ショッピングモールに向けて車を走らせてくれている先輩。こうして時々助手席に乗れるの嬉しかったりする。先輩が運転している姿を見るのは結構好き。


「先輩も叔父さんかあ。24歳の叔父さんですね。」

「叔父さんを繰り返すな。」

「姪っ子と戯れる一ノ瀬先輩が見たい…。」

「バカじゃないの、キモ。」

「女の子に言う言葉じゃありません。」


 そんな会話が繰り広げられている。

 沙羅さんとの事話すの随分抵抗も無くなってきたな。段々整理はつきましたか?なんて、そんな確認できるわけもなく思っているだけだけど。

 色々と考えていると「生まれてからもどうせ一緒に見に行くじゃん。」と言葉が飛んでくる。

 先輩の発言に思わず先輩の方に顔を向ける。

 今、何かすごく可愛い発言しなかった?と、細かく瞬きをして先輩を見る。


「何、行かないの。」


 ちょうど信号待ちに捕まって先輩は私の反応がなかったのが気になったのかこちらに顔を向けている。

 その聞き方をされているとすごく照れくさくて、恥ずかしくなってくる。それと同時に私と一緒に会いに行く事を当たり前にしていてくれてすごく嬉しい。


「行きたいです、一緒に。」

「そう。」


 短くぶっきらぼうに返事をすると、信号がちょうど青になってまた前を見て車を走らせる。

 最近の先輩はやっぱりすごく優しい。
< 109 / 426 >

この作品をシェア

pagetop