君と始める最後の恋
 その日の退勤後、志織ちゃんを捕まえて後からこの気持ちをどうしたらいいかわからずご飯に誘う。

 定食屋さんに入って今日の昼休みの話をした。


「ええ、焦れってぇ。付き合ったって報告かと思ったら次の土曜日に告白されるらしいってなんですかその報告。」


 志織ちゃんはうんざりした様な表情をしている。

 いい加減遠回りしすぎているこの状況に、他人から聞いても少し嫌気が差すレベルだったらしい。


「好きだよとは言われたの!でも土曜日にもっかい言うって…。やばい、今になって事の重大さに気づいた。」

「あの人ムードとかそういうの気にする方だったんですね。」

「先輩は意外とこだわりとか強いんだよ。」

「てことは小川くんがもう何言おうとしたかは分かったんですよね?どうするんですか?」

「あー…、うーん。」


 何を言いたいかは後になってもちろん理解出来たのだけれど、かと言えまだ言われていないのにこちらから何か言うのも…。分かった上で昨日の話なんだった?なんて聞けないし、私から出来る事って無いよな…。と、考えていた。

 小川くんのお昼の内容が告白だったと、さすがに鈍い私にもわかる。


「言われたらちゃんとお返事するけど、言われるまでは特に何もしないつもり。」

「まあそうですよね。じゃあ先輩は土曜日に向けて色々準備しときましょ。」

「そうだよね、ドキドキしてきた。告白される私。」

「うわあ、浮かれてんなぁ。可愛いです郁先輩。」


 その可愛いは若干バカにされてるような気がしなくもないけれど。
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