君と始める最後の恋
　その日からなんとなく小川くんと仕事で気まずくなっている様な気がして、今まで以上に仕事がやりにくくなる。

　特に何かあったとかではない。


「(本当、何でこんなことに。)」


　仕事に何となく集中できず、溜息を吐いてしまう。その溜息が先輩に届いていたのか隣から少し低い声で「うるさい」と圧が飛んできた。


「朝から辛気臭いの何回飛ばすわけ。」

「え、そんな！？」

「隣でいい加減にしてよね。」


　会社では先輩後輩というのもあって、当然恋人の忖度とか心配はない。そんなことする人なはずがないけれど…。


「すみません…、集中します。」


　そう言って再度パソコンと向かい合う。

　こんなことで仕事集中できませんなんて、どうかしてる。

　小川くんとただ資料を見ていて距離が近づいてしまっただけなのに、過去に告白されそうになったこともあってか意識しまっていて、それに加えて今先輩と交際もしているから、自分に好意を抱いてくれている人と距離を近づけすぎてしまって、また飲み会前のあの喧嘩が勃発してしまうのではないかと少しひやひやもしていた。

　『隙ありすぎ』なんて言われながら、あの冷たい視線で。考えるだけでぞっとする。
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