君と始める最後の恋
「…隠すならもっと上手くやんなよ。どうせ小川のことなんじゃないの。」


 小川くんの名前を聞いて肩を揺らしてしまう。

 そんな私の反応に呆れるように笑う。


「本当にそうなんだ。バカ正直。」

「別になんでもないですから!もうこの話終わりにしてください。」


 そう言ってなんとか小川くんの話を終わらそうとする。このまま先輩と話しててもボロを出してしまうだけだ。先輩よりも少し先を歩いて話したくないというように歩幅をずらすも後ろから腕を引かれる。


「…1人で抱えなきゃいけない問題なの。君の事だから俺達の関係バレちゃダメとか、そんなんで何も言えないから困ってるんじゃないの。」


 先輩の言葉に何も言い返せない。確かに私達の関係性はバレてはいけない。バレたら異動は間違いないだろうし、補佐と担当ではなくなってしまう。

 私も今はまだこの位置を無くしたくもないし、先輩が恋人だなんだと騒がれるのも嫌だから、私達は交際関係を隠している。


「大丈夫です、上手くバレない様にするので!」


 そう言って笑うも先輩は腕から手を離してくれない。

 外でこんな風に触れるの嫌がるのに、今日は何故か先輩から触れてくる。
< 184 / 426 >

この作品をシェア

pagetop