君と始める最後の恋
「類くん?」

『何。』


 その何の聞き方がいつもより優しい。きっと私が話しにくくならない様に優しく聞いてくれたんだと思う。こういう所本当に好きだって何度も思う。


「会いたいです。」


 普段言えない我儘を電話で伝えると、類くんは少し間を開けて静かな声で『今どこ。』と質問を投げかけてくる。


「え、今はまだ会社から駅方面に向かって歩いている所です。」

『そう。ならもう暗いし駅前のカフェに入って待ってて。迎えに行くし、危ないから外で待たないで。店の中で待ってて。』

「え?」

『会いに行くから。』


 それだけ言うと電話を切られてしまう。

 ”会いに行くから。”なんて言葉ににやけてしまう。

 会いたいって言ったらすぐに会いに行くって言葉が聞けるのは彼女の特権…、だよね。

 こんな我儘言ったら今まで嫌われちゃうかもって思っていたし、先輩も仕事終わりで疲れているはずなのに迷わずに会いに行くって言ってくれたことが嬉しかった。危ないから店の中に入って待ってても凄く大事にされているなと実感する。

 急いで駅前のカフェに入って大人しく飲み物を注文して待っている事にした。
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