君と始める最後の恋
 ほんの少し微睡むつもりだったのに温かさにまた瞼が落ちそうになる。このまま2度寝してしまいそう。


「郁?寝るつもり?」


 類くんに声を掛けられるも「んー」と気の抜けた返事をしてしまう。

 本当は起きておしゃれして、類くんと出掛けたいのに、この心地良さから離れたくもないと感じてしまう。

 でも映画も行きたい。


「郁、寝ないで。出掛けるんでしょ。」

「うーん…、ぽかぽかして眠たいですね…。」

「今日は、ずっと家に居る?」


 そう言いながら背中やうなじに口付けられて、擽ったい。こうやってずっとくっついていたい気持ちもあって、中々動き出せずに居た。確かに今日はお出かけせずこれでも良いのかも。

 そんな事をウトウトと考えている内に、意識は遠のいた。
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