君と始める最後の恋
「一ノ瀬さんのスパルタ初めてみました。」

「私が1年目はずっとああだったんだよね。まさか3年目突入でもこうなるなんて思わなかったよ。」


 溜息を吐くと志織ちゃんは笑っている。


「でもいいんだ、きっと私が部署異動したら寂しくなるよ、先輩。私のコーヒーが無いと元気に仕事出来ないでしょ。丸2年もやってたからね!」

「コーヒーボタン押すだけで一緒ですよね?」

「正論止めて、志織ちゃん。」


 確かにボタンを押して砂糖2個ミルク2個入れるだけだけど…。それが出来る特権は私だけのものだったのに、他の誰かがやる事になるのか、類くんが自分でやるようになるのか…、どっちにしても私の特権ではなくなるのが酷く寂しい。


「…毎朝2課に私がコーヒーを淹れに行く?」

「郁先輩、それ軽い監視と変わらないです。」

「そ、そうだよね?」


 流石にうざったすぎるかと反省をした所で正直、他の補佐が類くんに着くのは少し寂しかった。

 みんなに付き合ってるって言えるのは良い事なのにこれって我儘?類くんといると全部私が良いと最近思ってしまって、どんどん欲張りになる。
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