君と始める最後の恋
「郁ちゃんがママで類くんがパパか…。なんとなく想像付くかも」

「いや、いやいや、気が早いでしょ。2人して。」

「そこは何バカ言ってんのじゃないのね?」

「…なんなの、やりにく。」


 沙羅さんの言葉に少し照れくさそうにしている類くん。

 確かに否定はしないでいてくれた。将来的に一緒にいること考えてくれてるのかな…。そう思うとこっちまで照れくさくなってくる。


「嬉しいな、類くんがそんな風に誰かと一緒に居ようって思ってくれてるの。郁ちゃんのおかげ。」

「いや、そんなそんな。」


 今まで色々あっただけに何だか感慨深い。今も色々あるにはあるけれど、どれもあの時程試練と呼べるものでもなく平和だ。

 沙羅さんにそんな風に言われてどういう心境なのかな類くん。と思いながら、類くんの方を見ると私が抱いている赤ちゃんの方を見ていて、その表情が何だかすごく優しかった。

 子供、好きなのかな。それとも姪だから?

 私が類くんを見ていると、類くんと目が合う。


「(う、わ、見すぎた?)」


 段々と頬が熱くなってきて、慌てて顔を逸らす。


「…何赤くなってんの。」

「い、いや?何でもないです。」


 少し不自然な答え方をする私にふっと笑って頭をぽんぽんと撫でてくれる。そのまま立ち上がると沙羅さんの方に向かう。

 何、今の。私の事すっごい好きみたいな表情してた…。何であんな優しい表情してくるの。こんな風にまた類くんでいっぱいになって、どんどん夢中にさせられていくのはいつも私の方だ。
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