君と始める最後の恋
大学時代の友人…?
 あの喧嘩からの週明け、今日は朝から類くんは打ち合わせがあるらしく私よりも少し早めに家を出ていた。

 今日は朝からバタバタするから朝のコーヒーは大丈夫と命を受け、少し寂しい思いはしつつも、いつも通りの時間に出勤した。

 何だかオフィス内がざわざわしている気がして、志織ちゃんと目が合うと志織ちゃんがこちらに寄ってきて「ちょっと」…と、腕を引いて給湯室に連れていかれる。

 志織ちゃんも何だか少し焦った表情をしていて首を傾げる。


「一ノ瀬さんに仲の良い女性の友達なんて居たんですか!?」


 給湯室に行くなりそんな質問に首を傾げる。

 何の話だか全く読めない。本当に何の話なんだ。


「お、落ち着いて志織ちゃん。類くんがどうしたって?」

「聞いた事あります?親しい女性の友人。」

「え、無いけど。」


 勿論類くんにも交友関係はあるけどその話をした事は一切無い。

 そもそも類くんは休みの日は本当に外になんて出ないし、家に友人を連れてくるなんて経験もない。

 同棲した初期の方に私に気を遣っているのかと思って、遊びに行くのも呼ぶのも良いと言う話はしたけど、類くんは「面倒だから良い」と言って断って以来それから滅多に何も無かった。


「凄い美人が一ノ瀬さんの隣を歩いていて親しそうに話してるんです!あの一ノ瀬さんが軽くですけど笑ってたりして…。どういう関係なんですかね。」

「どういう関係って…。類くんにだって女性の友達だっているよ。」


 そう言いながらも聞くだけでかなりモヤモヤする。

 自分で言ってモヤモヤしてどうするんだ。

 結婚したってこの余裕の無さは変わらなくて、美人で仲良さそうと聞けば気になって仕方ない。
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