君と始める最後の恋
「…あの、声は掛けてみますけど、期待しないでくださいね。」


　それだけ言うと嬉しそうに笑う上原さんに何とも言えない気持ちになる。

　実は連れてきてって言った人は類くんの事が好きだった人だったりするんじゃないかとか変な勘繰りまでしてしまう。

　そりゃ、類くんに会いたい人が居るのは嘘じゃないだろうけど…。と、そう思いながら上原さんに軽く会釈してオフィスに戻る。

　類くんが断った物に私が口を出すの良い気しないと思うけどな。

　中に入ると、いつもの2課のデスクに類くんが居る。
　最近オフィスでゆっくりしているの見なかったから珍しい。


「(…どうしようかな。)」


　類くんの姿を見てさらに頭を悩ませた。

　ひとまず3課のデスクに着いて、どのタイミングで伝えるか、どの様な言い方をしたらいいか、などを考える。

　夫婦になってもお互い干渉しない所もきちんとあって、そこに足を踏み入れる瞬間はいつもこちらも緊張する。
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