君と始める最後の恋
 それから数日後、それからも時々上原さんの姿をよく見る様になった。

 今大きなプロジェクトをやっているという話は聞いていたけど、頻繁に打合せするんだなと見ていただけだった。

 相変わらず距離感が変わる様子も無いけど、この間の夜の事があったからかいつもよりも余裕があった。

 あれだけ愛されれば流石に私も…。なんて思い出しては赤面する。


「(会社で私は何を思い出して…。)」


 この熱を覚まそうと給湯室に逃げ込んだ。

 コーヒーを淹れて席に戻ろうと廊下からオフィスの方へと戻っていくと、たまたま上原さんとすれ違う。


「あ、桜庭さん。お疲れ様です。」

「お疲れ様です、上原さん。」


 そんな挨拶を交わしてその横を通り過ぎようとした。

 その時に「あっ」と声を掛けられその声で振り返る。


「あの、奥様にこんな事お願いするのも変だって分かってるんですけど、一ノ瀬に今度同期会来る様に言ってもらえませんか?」

「え…。」


 思わぬ言葉に急には言葉が出なかった。

 お互いの交友関係に口を挟んだ事は無い。

 それを急に私から?


「あの、そういうのはお互いの判断で参加するしない決めているので、類くんは私から言っても行かないと決めたなら行かないと思います。」

「そう、なんですね。実は定期的に大学時代の友人と同期会をしているんですけども、一ノ瀬と会ったら連れてきてって言われてまして。みんな一ノ瀬に会いたがっていたので、無理なお願いをしてしまいました。」


 少し困った様に苦笑いする上原さんに、私も何とかしたいというお節介心が湧いてくる。
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