君と始める最後の恋
「君との時間もまともに取れていないのに、同期会なんて参加してる場合じゃないでしょ。結婚式の話し合いとかだって、時間作れる時にしか出来ないんだから」


 ああ、本当こういう所…、好き…!
 ちゃんと考えていてくれていて、私ファーストなの何なんですか!

 結婚してくれ~!あ、結婚してた。と心の中でも小ボケを挟みつつ悶える。

 それにそんな何でも無い事みたいに言ってて、自分がどれほどに尊い事を言っているか自覚無い所も可愛くて仕方ない。


「そういう所すっごく好きですけど、もしそれが理由なら、そこは気にせず行ってきてくださいね。行きたくないなら行かなくて良いと思いますけど。」

「行きたくないから大丈夫。そもそも上原とはプライベートで極力関わるつもりはない。仕事の関係だけでいいよ。」

「え、どうしてですか?」

「…俺だったら、嫌だなと思うよ。学生の時の関わりがあったからって飲みの場でとかで関わられるの。君の担当さんも仕事だから許してるけど、頻繁に裏で飲みに行かれてるとか知ったら多分…。」


 そこで言葉は止まったけど、言っている事はきっと類くん自身も嫉妬深い事を自覚していて、私を不安にさせない様に極力してくれてるのだ。

 仕事の事は基本的に仕方ないってお互い思っていて、割り切っているけどプライベートの場はそうもいかないって。

 その言葉を聞いて口元がだらしなく緩んでしまう。


「…何にやけてんの。キモイ。」

「キモイはやめてください!それに、今嫉妬する事無いでしょ?」


 そう問い掛けると類くんは左手で頬杖をついていてテレビに何気なく向けられていた視線をこちらに戻す。

 それから「さあ」なんて返事で濁されて分かっていた、素直に嫉妬していたとしても言わない事くらい。

 「ですよね」なんて返事を返してマグカップを下げるために立ち上がると、その腕を突然引かれて類くんの膝の上に座らせられる。
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