君と始める最後の恋
「してるよ、常に。」

「へ?」

「君、忘れたの?俺がどれだけ独占欲強いか。」


 そう言いながら私の髪を掻きわけて、出てきた首筋に軽く唇を押しあてる。擽ったくて小さく声が漏れて、それが何とも恥ずかしい。何度か、ちゅっと短く音を立てて、押し当てるとようやく落ち着く。


「常に思ってる。君と元々一緒に仕事してたのも俺で、そこまで出来る様に育てたのも俺なのに、他の奴に取られるなんて悔しいって。」

「な、なんで、今日そんな事ばっか言ってきて…。」

「本当は仕事にも行かせないで閉じ込めておきたいくらい。」


 そんな囁きを耳元でする類くんに肩をビクッと揺らす。

 甘すぎてどうにかなってしまいそうな程苦しい。
 今日は糖分過多で病気になってしまいそう。


「…もう、冗談ばっかやめてください。」

「冗談じゃないけど。」

「は!?」


 類くんの顔を見ると、目が合って確かに冗談を言っている感じではない。


「…郁の気持ち尊重するけど、俺そんな器の大きい人間じゃないから。妬かせない様にしてよね。本当に閉じ込められたくなかったら。」


 そう言って私の事を下ろすと、私のマグカップを奪って自分の洗い物も下げて、片付けを始めてしまう。

 独占欲の強さがまだまだ強くなっている気がして、驚いた。

 元から意外と嫉妬深い人だったけど、そこまで…?

 知らず知らずに凄く愛されていた事に気付かされて熱が冷めない。
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